突然ですが、会社やご近所づき合いで、こんな経験はないですか?
相手の話や行動に「変だな」「理解できないな」「何でそんなことするの?」と首をかしげてしまったこと。
こういう理解不能な人は、意外とストレスだったりします。きっとあなたもイライラした経験があるのではないでしょうか。
そんなときにピッタリの、イライラ解消法があります。
それは、
「その人には、そうせざるを得ない背景がある」
と考えることです。
イメージしやすいように、身近な例をあげてみますね。
私の会社でこんなことがありました。
社員がミスをして、取引先にご迷惑をかけてしまいました。
プロジェクトのリーダーは、再発防止の観点から聞き取り調査を始め、部下を叱責しました。
叱責は確かに厳しめでしたが、ハラスメントとまでは言えず、常識的な範囲でした。
しかし、その様子を見たプロジェクトの最高責任者が「こんなミス、大したことない。おおげさだ!」と、社員をかばい、逆にリーダーを強く非難しました。
周囲の社員は、最高責任者の過剰な擁護に首をかしげました。
「なぜ、そこまでかばう?」
ミスは取引先に迷惑をかけるほどの大きなもので、叱責も仕方がない、と誰もが思う状況でした。
でも、これには理由があったのです。
その最高責任者は、タイプとしては豪快な人でした。少々でメンタルを壊すような人ではありません。
しかしそれは、周囲が勝手に抱いたイメージにすぎませんでした。
その責任者は、前の部署において、配下の社員を大量にリストラして、深い心の傷を負い、初めてうつ病になり、休職に追い込まれていたのでした。
これまで味わったことのない苦しさ、自分がうつ病になってしまったことへのショックで、その責任者は、二度と、配下の社員を追い出すようなことはしない、と心に誓いました。
そして今回、この最高責任者は、ミスをした社員が、ミスの負い目と叱責のダメージで、自分のプロジェクトから脱落しないか、と強い恐怖を感じてしまったのでした。
その恐怖のあまり、ミスをした社員を過剰に擁護してしまったのでした。
このようなストーリー(背景)が分かれば「なるほどそうだったんですね」と、理解ができるものです。
背景がわかると、一気にギクシャクが解消することもあります。
「おかしいな?」
「理解できないな?」
という言動に出くわしたら、腹を立てる前に、まずその人の「背景」を探りましょう。
そうせざるを得ない「背景」が、この人にはきっとある。
そう考えるだけで、相手への理解に一歩近づけます。
相手への理解に近づくと、やみくもにケンカすることもなくなりますし、その後の処理も、穏便に進めることができるでしょう。